The 2nd East Asia Migrant & Coexistence Film Festival
ある日、おかずを買いにスーパーに行くと、宮崎産のカツオがとても新鮮に見えた。その横のチリ産と書かれたシャケの方が安かったが、国産(Made In
Japan)と書かれたカツオの方が安心だと思い、1パック398円するカツオを買った。その時、以前読んだことのある次のような内容の新聞記事が頭をよぎった。一本釣りのカツオを日本で最も多く獲る宮崎県南郷町のカツオ漁船には、20名近い乗組員の中にインドネシアからの研修実習生が6名含まれているというのだ。
高原レタス生産日本一の長野県川上村も外国人を受け入れているということでは例外ではない。約4800名の住民が農業に従事しているこの農村には、農繁期には中国吉林省出身の産業研修生600名余りが集まってくる。
阿蘇市波野にもこの4年間で88人の研修実習生が訪れている。キャベツと白菜を生産しているある農家では、去年の秋には日本人20名と共に中国からの農業研修実習生6名が働いていた。また、他の高冷地野菜の生産農家には、フィリピン人実習生2人が働いていた。これらの野菜には「Made
In East Asia」のラベルを貼るべきではないだろうか。
このような実例を踏まえると、日本では今や「東アジア産」と言える物が圧倒的に多く、純粋な「日本産」というものは稀なのかもしれない。日本で絶大な人気がある「ユニクロ」も中国製の日本のブランドであり、日本が誇る「トヨタ自動車」にも韓国産の鉄鋼と台湾産の自動車部品、フィリピンの工場の結合体のものもある。とすれば、いわゆる純粋な国産とは単に「想像の産物」に過ぎないのかも知れない。名古屋近隣のトヨタ自動車部品工場には、最近の不況の前までは「日系ブラジル人」が多かった。そうすると「Made
In East Asia」というラベルもトヨタ製自動車を作る全ての生産者を包括するには役不足ではないだろうか。
では、東アジア移住民の存在を感じとることができるのは、農産物と衣類、自動車からだけだろうか。日本でも韓国でも結婚移住は当然な社会現象になっている。今回の映画祭の注目作品である韓国映画『ウェディングキャンペーン』は、農村での結婚移住問題を扱っている。「第2回東アジア移住共生映画祭」は、「東アジア」が日本の「外」に存在しているのではなく、すでに日本の「内」に存在していることを私たちに
実感させてくれるだろう。
第2回東アジア移住共生映画祭実行委員会